体を動かすこと,姿勢を変えること
分娩のいろいろな段階において,妊婦さんはある姿勢や運動が他よりも快適であると感じます.1900年代の初めから,出産は自宅でするものから,医療従事者,静脈点滴,硬膜外鎮痛や他の医療行為を伴う,病院でするものへと変化しました.これによって妊婦さんの体を動かす自由が制限されてきたのかもしれません.
お母さんが姿勢を変えると,胎児の頭の位置,子宮収縮そして母親の骨盤と重力との関係が変化します.お産の際に体を動かしたり姿勢を変えることは,体位異常のある胎児を回旋させたり,頚管の開きや胎児の下降が遅いことを治すために推奨されるでしょう.多くの研究が,歩くことや直立して座ることでお産の進みが速くなることを示しています.
姿勢の例:
· 直立
· しゃがむ
· 横向き
· 水平
· よつん這い
最近では,分娩中快適に過ごせるようバースボールが用いられます.お母さんは痛みを和らげたり分娩の進行を速めたりするために,空気注入式のボールの上で座ったり,揺れ動いたり,はずんだり,ストレッチをしたりできます.
限界
赤ちゃんや母親にとって有害になる姿勢を報告した研究はこれまでにありません.妊婦さんは快適に過ごせる姿勢を見つけるように促されるべきですし,もし妊婦さんが望むなら直立した姿勢を保つべきです.硬膜外鎮痛のような処置のため,足の力が十分であるとしてもベッドを離れて動くことが安全でなくなることがあります.多くの分娩施設は人員不足で,また硬膜外鎮痛を受けながらの歩行が容易にできるエリアがありません.
バースボールは落下を防ぐため,介助経験の豊富な者による介助が受けられない場合には使用すべきではありません.
上記の情報は以下の出版物より得られました.体を動かすこと,姿勢を変えることについてより多くの情報を希望される場合は資料を読み,担当産科医と話し合うことをお勧めします.
Murray Enkin, A Guide to Effective Care in Pregnancy and Childbirth, 3rd Ed., Oxford University Press, 2000
Eappen S, Robbins D., Nonpharmacological means of pain relief for labor and delivery, Int Anesthesiol Clini. 2002 Fall; 40(4): 103-14, Review
Simkin P.,Nonpharmacologic relief of pain during labor:Systematic reviews of five methods, Am J Obstet gynecol, 2002 Volume 186, Number 5 ,S131-159